縮小する市場を助けるマッチングサービスのアイデアが試される|よげんの書:25年4月号より

この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。


書店消失と「本が買えない街」の危機

日本の書店数は右肩下がりを続けており、ついに市町村の4分の1に書店が存在しないという状態になりました。書店は「再販価格維持制度」によって価格を自ら決められず、利益率が低いという構造的な問題を抱えています。本の流通が滞ることは、長期的に見れば知識の欠乏による「国力の低下」を招くことも懸念されています。

この縮小する市場を助けるために、大日本印刷(DNP)が「書店と出版社をマッチング」する新サービスを開始しました。在庫がない本を200部から復刊でき、それを発注した書店でのみ独占販売できる仕組みです。書店は在庫リスクを負う代わりに、利益率を35%まで引き上げることができます。これはニッチなニーズを繋ぎ、市場を維持するためのとても有効なアイデアです。

オープンネームが変える「事業承継」の物語

もう一つの注目すべき事例は、事業承継マッチングの「relay(リレイ)」です。これまでのM&Aは、情報を隠す「ノンネーム」での交渉が主流でしたが、リレイはあえて「オープンネーム」で募集を行います。

財務数字だけでは伝わらない、経営者が事業に込めてきた「想い」や「ストーリー」を可視化することで、その熱意に共感する後継者候補を公募します。市場が縮小しても、そこには固定客や地域の歴史といった「目に見えない価値」が残っています。これをオープンに伝えることで、数字以上の価値を見出すマッチングが可能になります。

AIが解決する「空き家」マッチングのペイン

さらに、「空き家問題」においてもAIを活用した革新的なマッチングが始まっています。地方の空き家は手続きが複雑で情報が揃いにくいというハードルがありましたが、ポルティ社は個人情報の登録を不要にし、AIが売却額を即座に算定するサービスを提供しています。

民泊やセカンドハウスとしての需要が高まる中、複雑なプロセスを簡素化し、「めんどくさい」というペイン(痛み)を取り除くことで、休眠資産に再び息を吹き込むことができます。市場がニッチになればなるほど、個人と機会を結びつける「マッチング・アルゴリズム」と「ストーリーの力」の重要性は高まっていくでしょう。


「よげんの書」は企業や個人が不確実な時代を生き抜くための道標を提供し、仕事や生活のマーケティングに投影していただけることを目的・目標として主催者の個人プロジェクトとして運営しています。

まずはぜひセミナーをご覧ください。そして「セミナーの共同開催」や、よげんの書をもとにした研修「ミライノミカタワークショップの開催」など、マーケティング活動をご一緒させていただく機会を検討いただける場合はお気軽にお問い合わせください。Driving Forceをともに掴み、未来を一緒に創っていくことができれば幸いです。

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この記事を書いた人

舟久保 竜のアバター 舟久保 竜 よげんの書|主催者

総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査に関わるとともに、2020年から師匠の「大久保惠司 氏」とともに企業のマーケター向けに毎月トレンドを発表するセミナーを継続開催する。2025年、大久保氏の逝去後に「よげんの書」をライフワークとして継続することを決意。

本業は2024年1月から株式会社フィードフォースに所属。企業のコマースサイトを顧客体験基盤やCDPとして活用するためのソリューションのマーケティングに携わる。企業と生活者がモノではなくサービスでつながるための、SDL(サービス・ドミナント・ロジック)の実現を目指す。