米国が「自由民主主義」ではないと評価される|よげんの書:26年夏号より

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米国が自由民主主義国の区分から格下げされる

スウェーデンの独立調査機関であるV-Dem研究所が2026年3月に公表した年次報告書によると、米国の「自由民主主義指数」が急落し、過去50年間で初めて「自由民主主義国」から「選挙民主主義国」へと格下げされました。

選挙民主主義国とは、形式的な選挙は行われているものの、法の支配や権力の抑制と均衡など、自由民主主義を支える基本的な前提条件が崩れている状態を指します。議会が政権の暴走を抑制する機能は過去100年で最低水準に落ち込んでおり、権力は大統領個人に集中する傾向が強まっています。判事への弾劾要求や、批判的なメディアに対する国税を通じた圧力など、表現の自由の悪化を示す具体的な動きが指摘されています。

白人労働者の絶望死が強権的体制の支持基盤となっている

こうした強権的な政治体制が支持を集める背景には、米国社会の底流にある白人労働者層の絶望と怒りが存在します。

地方都市やラストベルトでは、2000年代以降の工場閉鎖や雇用の海外流出により、地域コミュニティの生活基盤が失われました。その結果、アルコールや薬物中毒、自殺などを原因とする「絶望死」が深刻化しています。オハイオ州やウェストバージニア州などの一部の地域では、その死亡率が全米平均の3倍を超える水準で推移しています。

これらの地域で暮らす人々にとって、「自由民主主義」や「グローバル化」は自らの仕事を奪い、社会を破壊した元凶とみなされています。既存のシステムでは生活が改善しないという絶望感が、従来の秩序を破壊しようとする強権的なリーダーへの岩盤支持へと繋がっています。この深い分断が、民主主義本来の自浄作用や修復機能を阻害しています。

権力の過度な集中を抑制するために3つのチェック機能が提示されている

権威主義化への動きに歯止めをかけるため、以下の3つの要素が重要視されています。1つ目は、中間選挙における野党の議会奪還を通じた、行政への法的牽制力の回復です。2つ目は、権力の圧力に屈しない司法の独立の維持です。3つ目は、金融市場による政策への制約です。過激な政策が経済を破綻させようとする局面において、株価や金利の動向が政策の軌道修正を迫るシグナルとして機能することが期待されます。

しかし、抗議活動への抑圧やジャーナリストへの圧力が常態化する中、これらの機能を維持することは容易ではありません。自浄作用が働く限界の時期が迫っているとの見方もあり、秩序を支える前提条件の揺らぎは、日本を含む他の民主主義国にとっても無視できない課題です。


「よげんの書」は企業や個人が不確実な時代を生き抜くための道標を提供し、仕事や生活のマーケティングに投影していただけることを目的・目標として主催者の個人プロジェクトとして運営しています。

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この記事を書いた人

舟久保 竜のアバター 舟久保 竜 よげんの書|主催者

総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査に関わるとともに、2020年から師匠の「大久保惠司 氏」とともに企業のマーケター向けに毎月トレンドを発表するセミナーを継続開催する。2025年、大久保氏の逝去後に「よげんの書」をライフワークとして継続することを決意。

本業は2024年1月から株式会社フィードフォースに所属。企業のコマースサイトを顧客体験基盤やCDPとして活用するためのソリューションのマーケティングに携わる。企業と生活者がモノではなくサービスでつながるための、SDL(サービス・ドミナント・ロジック)の実現を目指す。