コンビニのラテラルシンキングが面白くなる|よげんの書:25年8月号より

この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。


ラテラルシンキング(水平思考)とは、思考の幅を広げ、既存のカテゴリーや機能の枠を横にずらすことで、クイックにイノベーションを生む思考法です。これは、フィリップ・コトラーの著書でも強調されている手法です。社会的な課題が多発する現代において、この思考法が新しい機会を生み出しています。

コンビニの水平思考事例

コトラーの著書でセブンイレブンの事例として紹介されたように、かつてコンビニは「物を買う場所」から、公共料金収納、宅配受け取り、ATMといった「用事解決」の場所へと発想を横展開し、成功を収めました。 現在、コンビニはさらに遠い業界の課題を取り込み、イノベーションを起こしています。

  • ローソンの車中泊事業(宿泊業の課題解決) ローソンは、インバウンド増加と宿泊料の高止まりというオーバーツーリズムの課題に対し、駐車場で「車中泊」事業を開始しました。1泊2,500円〜3,000円で、電源、トイレ、ゴミ袋を提供し、地方における宿泊の受け皿となることを目指しています。これは、コンビニが持つ「駐車スペース」というリソースを、遠い業界の課題解決に水平展開した事例です。

  • セブンイレブンのファーストフード店化(外食のジョブ取り込み) セブンイレブンは、ファーストフード店の「用事」を取り込む水平思考を進めています。出来たてパン、紅茶、スムージーといった商品を増やすため、レジカウンターを最大4割延長する店舗改装を進めています。これは、客単価と来店客数の同時押し上げを狙うものです。また、雑誌棚を5割超減らす代わりにPB冷凍食品などの棚を拡充し、店内動線を「食と間食」に寄せることで、新たな価値創造を目指しています。

ラテラルシンキングは、自社とは全く異なる遠いカテゴリーや市場で起きている課題を、自社のリソースで解決できないか考えることで、新たなアイデア発想の機会につながります。


「よげんの書」は企業や個人が不確実な時代を生き抜くための道標を提供し、仕事や生活のマーケティングに投影していただけることを目的・目標として主催者の個人プロジェクトとして運営しています。

まずはぜひセミナーをご覧ください。そして「セミナーの共同開催」や、よげんの書をもとにした研修「ミライノミカタワークショップの開催」など、マーケティング活動をご一緒させていただく機会を検討いただける場合はお気軽にお問い合わせください。Driving Forceをともに掴み、未来を一緒に創っていくことができれば幸いです。

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この記事を書いた人

舟久保 竜のアバター 舟久保 竜 よげんの書|主催者

総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査に関わるとともに、2020年から師匠の「大久保惠司 氏」とともに企業のマーケター向けに毎月トレンドを発表するセミナーを継続開催する。2025年、大久保氏の逝去後に「よげんの書」をライフワークとして継続することを決意。

本業は2024年1月から株式会社フィードフォースに所属。企業のコマースサイトを顧客体験基盤やCDPとして活用するためのソリューションのマーケティングに携わる。企業と生活者がモノではなくサービスでつながるための、SDL(サービス・ドミナント・ロジック)の実現を目指す。