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2025年:戦後秩序の節目とアメリカの「19世紀の保護主義」
2025年は、第二次世界大戦終結から80年、そして主要7カ国(G7)サミット発足から50年という、世界の戦後体制にとって大きな節目となる年です。しかし、この節目において、戦後秩序を主導してきたアメリカの姿勢が、国際協調を大きく揺さぶっています。 特に、トランプ政権は高関税を掲げ、国際協調を否定し、自国優先の「19世紀の保護主義」を目指すという状況が生まれています。これにより、グローバルな資本主義経済社会が不安定化しています。
G7サミットで鮮明になった「1強+6」の構図
今年6月にカナダで開催されたG7サミットは、国際協調を維持するための試金石となりました。その結果として「1強+6」という構図が鮮明になりました。これは、アメリカ以外のG6諸国のGDPを合算してもアメリカ一国に届かないという経済規模の差が背景にあります。 この状況下で、トランプ大統領は通商や気候協調を軽視し、多国間枠組みへの献身を拒否したため、G7の存在意義の低下を世界に印象づける結果となりました。
世界は80年ぶりの大転換期へ
米国の政治学者ジェラルド・カーティス氏は、トランプ大統領の2度目の就任式である2025年1月20日に、「日本だけでなく世界の『戦後』は間違いなく終わった」と発言しました。これは、米国が第二次世界大戦後に築いてきた国際秩序の終わりを意味し、世界は80年ぶりの大転換期を迎えていると指摘されています。

