日本の「おもてなし」に変化が現れる|よげんの書:25年7月号より

この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。


宿泊者急増と人手不足による現場の負荷

日本の「おもてなし」のあり方が、深刻な人手不足を背景に変化を迫られています。2024年の国内延べ宿泊者数は6億5028万人泊と10年で4割増加しましたが、スタッフ人員は7%減少し、1人あたりの受け入れ数が年間902人に達するなど、現場の負荷が増しています。政府は2030年に訪日客6000万人を目指す中で、この人手不足は大きな障壁です。

省人化が新しい「おもてなし」につながる

この課題をDXや省人化によって乗り越え、新しい顧客体験を生み出す事例が現れています。キーワードは、「Less is More」(減らしても、なくしても幸せに感じる体験を提供する)という視点です。

DXを活用した効率化事例

  • アパホテル: 全店に自動チェックイン機を導入し、受付時間を約20秒に短縮することでロビーの混雑を大幅に緩和しました。
  • 水明館: JTB商事の清掃ロボットKIRARAが、エレベーターとの自動連携を実現し、人員4名分を代替することで約3年で投資回収が可能とされています。
  • ルートイン: IVRyの電話対応AIを約200店舗に導入し、問い合わせ対応を自動化し負担を削減しつつ、会話分析を通じて運営改善にも繋げています。

新しい顧客体験の創出

  • 楽天ステイ: 6割弱が素泊まり主体である施設で、客室からの調理形式や無人販売機を導入し、食事を分離。時間的な制約を受けない食事が好評を得ており、過剰なサービスから体験提供へと軸足が移っています
  • コンテナ型ホテル R9: 1泊6200円程度で宿泊を提供し、セルフチェックインと個別ユニット配置で高稼働率を実現。さらに、災害時にはレスキューホテルとして転用できるという、地域防災を両立させたユニークなコンセプトが新しいおもてなしの形を提供しています。

「よげんの書」は企業や個人が不確実な時代を生き抜くための道標を提供し、仕事や生活のマーケティングに投影していただけることを目的・目標として主催者の個人プロジェクトとして運営しています。

まずはぜひセミナーをご覧ください。そして「セミナーの共同開催」や、よげんの書をもとにした研修「ミライノミカタワークショップの開催」など、マーケティング活動をご一緒させていただく機会を検討いただける場合はお気軽にお問い合わせください。Driving Forceをともに掴み、未来を一緒に創っていくことができれば幸いです。

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この記事を書いた人

舟久保 竜のアバター 舟久保 竜 よげんの書|主催者

総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査に関わるとともに、2020年から師匠の「大久保惠司 氏」とともに企業のマーケター向けに毎月トレンドを発表するセミナーを継続開催する。2025年、大久保氏の逝去後に「よげんの書」をライフワークとして継続することを決意。

本業は2024年1月から株式会社フィードフォースに所属。企業のコマースサイトを顧客体験基盤やCDPとして活用するためのソリューションのマーケティングに携わる。企業と生活者がモノではなくサービスでつながるための、SDL(サービス・ドミナント・ロジック)の実現を目指す。