この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。
スマホ後継機としてのメガネ型端末への期待
スマートフォンに次ぐ次世代端末として、メガネ型のウェアラブル端末への期待が再び高まっています。 OpenAIがiPhoneのデザイナーであるジョニー・アイブのデザイン会社を買収し、AI搭載のウェアラブル端末開発を進めていることが話題となりました。MetaがRay-Banと共同開発したスマートグラスもライブ翻訳やハンズフリー撮影を実装し好評を得ており、街歩きの体験を刷新しています。 これらの端末が普及すると、現実にデジタル情報を重ねる「常時AR」の生活が一気に一般層に浸透すると予測されており、世界市場は2030年までに9000万台に急拡大する見込みです。
VR技術が誘導する錯覚学習体験
VR技術は、人間の認知に働きかける「錯覚」を利用し、学習や仕事の効率を押し上げ始めています。 イマクリエイトのVR研修では、重力を調整し、ゆっくり動く剣玉を使って練習することで、初心者が溶接や難しいけん玉の技を短時間で習得できる成功体験を提供しています。視覚と聴覚を同時に刺激する没入設計により、「できそうだ」という錯覚を誘導し、学習効果を向上させています。
錯覚体験の可能性と伴うリスク
VRは、そうめんをラーメンの味に感じさせる実験が示すように、強い視覚刺激によって味覚をも上書きし、多感覚を容易に欺く能力があります。この技術が日常化し、購買や学習行動に影響を及ぼし始める可能性があります。 一方で、常時装着デバイスは注意散漫を招き、依存を防ぐための設計と監視機構、そして健康ガイドラインの整備が急務となっています。EUのAI法では、透明性とユーザー保護が義務付けられ、企業には依存や長時間使用を防ぐ設計が求められています。

