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2025年6月24日、イスラエルとイランの停戦合意が発表され、世界中のエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖懸念が回避されました。これは一時的な安堵をもたらしましたが、国際物流の混乱は常態化しています。
コンテナ船のスケジュール順守率(定時率)は57.5%と低調なままです。かつて2010年代後半には70〜85%を維持していた定時率は、コロナ禍で30.4%まで悪化し、経済活動正常化後に一時回復したものの、2023年末からの中東情勢の悪化により再び遅延が常態化しました。
特に、武力組織フーシが商船攻撃を繰り返す紅海(アジアと欧州を結ぶ重要な海上交通路)において、商船は通航を回避するため、アフリカ大陸南端の喜望峰を経由する遠回りの輸送を強いられています。これにより輸送日数が大幅に長期化しています。
遅延の常態化は、在庫を極力持たない「ジャストインタイム型」の経営を支えてきた国際物流の土台を揺るがし、荷主企業は在庫戦略の見直しを迫られています。コンテナ船の遅延常態化は、あたかも「遅刻が常態化している」状態であり、世界の風紀の乱れや治安の悪さが反映されているのではないでしょうか。

