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若者の不安に関連して、日本ではスポーツが「贅沢品」となり、スポーツ格差が広がっています。
- 観戦の贅沢化:プロ野球やサッカー日本代表戦など、かつて地上波で普通に見られた試合の多くが有料サービスに移行しました。観戦チケット代は過去10年で1.4倍に高騰し、スポーツ動画配信サービスのDAZNの料金も3年で2倍以上に値上がりしています。 その結果、若者のスポーツ観戦離れが進み、12歳から19歳の生観戦率は2023年に30.5%と、10年余りで10ポイント以上減少しました。プロスポーツの観客数は過去最多水準であるものの、それは主に「お金を持っている大人」の贅沢となっている側面が強いです。
- 体験の贅沢化:スポーツの「参加費用」も値上がりしています。総務省の調査によれば、東京都区部の水泳教室の月謝は10年で2,000円近く上昇しました。野球やテニスなどでは用具代の上昇も加わり、家庭の負担が増加しています。
この費用負担の増大により、家庭の年収によるスポーツ格差が顕在化しています。世帯年収300万円未満の子どもの63.5%が週に一度もスポーツ体験(習い事やクラブ活動など)がないのに対し、600万円以上の家庭ではこの割合が大幅に低く、20ポイント以上の差が開いています。
スポーツは、これまで経済環境にかかわらず多様な子どもたちが接点を持つ機会でした。多様性を学び、機会の平等を確保するためにも、スポーツ体験の環境整備が求められています。

