この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。
年間16兆円の機会損失という衝撃
2024年、日本全体の人手不足による機会損失は年間16兆円に達しました。そのうち13兆円が宿泊、飲食、介護といった「非製造業」のサービス部門で発生しています。観光需要やインバウンドが回復し、目の前にお客がいるにもかかわらず、働き手がいないために予約を断り、シャッターを閉めざるを得ないというパラドックスが起きています。
消えた「24時間営業」と深夜の街の変化
特に顕著なのが深夜帯の営業縮小です。深夜0時から5時に営業する飲食店の割合は、コロナ前の約11%から、現在は約5%へと半減しました。求人市場においても「24時間営業」を掲げる求人は1%前後にまで低下しており、かつての「いつでも開いている」という日本のサービスモデルは維持が困難になっています。この変化は、賃金原資を増やせないまま縮小均衡に向かうリスクを孕んでいます。
セブン×Netflixが象徴する「家飲み・早帰り」の定着
店舗の時短営業は、生活者の行動をも変えました。2次会に行かず早めに帰り、自宅で動画を見ながら過ごすスタイルが定着しています。セブン-イレブンがNetflixとコラボし、動画視聴中に楽しむための商品を展開しているのは、その象徴のひとつです。コンビニは今や、深夜の街を照らす存在から、個人の「家時間」を楽しむためのパートナーへと役割をシフトさせています。
「0.5食化」市場という新たな機会
こうした生活リズムの変化から、「0.5食化」というキーワードが生まれています。これは、3食のメインの食事以外に、隙間時間で楽しむ小規模な食事ニーズを指します。人手不足や需要減を嘆くだけでなく、ポストニューノーマルにおける「隙間時間の使い方の多様化」を捉えた商品開発や、DXによる供給力強化が、宿泊・飲食・小売業が生き残るための鍵となります。

