この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。
20年で4倍に激増した熊の駆除数
日本で熊の目撃や人身被害が急増しており、駆除数は2000年代の年間約2000頭から、2023年度には約9000頭へと、わずか20年で4倍以上に拡大しました。これは単なる野生動物の問題ではありません。暖冬による積雪不足で熊が冬眠に失敗しやすくなったことや、少子高齢化で人里との境界が曖昧になったこと、さらには山の餌不足といった複合的な要因が重なり、気候変動の影響が私たちのすぐ隣にまで迫っている証拠でもあります。
北上する「マダニ感染症」の日常的な脅威
温暖化の影響は、目に見えない形でも広がっています。かつては暖かい地域に限られていたマダニ媒介性の感染症(SFTS)の報告例が北上しており、現在は東北や北海道でも確認されるようになりました。また、日本脳炎を媒介する蚊の生息域も拡大しており、予防接種の推奨範囲が変わるなど、気候変動は私たちの健康と医療体制に日常的な脅威を突きつけています。
経済と労働を蝕む「熱波の損失」
気候変動は経済活動にも甚大な影響を与えています。研究によれば、極端な熱波による労働時間の損失は世界で年間6390億時間に達し、世界GDPの約1%に相当する経済的損失を生んでいます。欧州では屋外労働の禁止や勤務短縮を義務化する国も現れており、気候変動は「遠い将来の環境問題」ではなく、今現在の「働き方」と「経済」を直撃する緊急課題となっています。
COP30の分断と、私たちに求められる意識
2024年の世界平均気温は、産業革命前比でいよいよ1.5度を超えました。しかし、11月の気候変動対策会議(COP30)では先進国と途上国の対立が解けず、具体的な行程表の策定は後回しにされました。国際的な足並みが揃わないもどかしい状況が続きますが、野生動物の生態変化、感染症の北上、労働損失といった「じわじわと広がる影響」を正しく認識し、個々の生活や事業の中で備え続ける意識が求められています。

