パラソーシャルの光と影に注目が集まる|よげんの書:25年冬号より

この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。


今年の言葉「パラソーシャル」とは何か

ケンブリッジ辞書が2025年の言葉に選んだ「パラソーシャル」は、現代の人間関係を象徴するキーワードです。これは、ファンが有名人、インフルエンサー、あるいはAIやVTuberといった対象に対し、個人的な親近感や愛着を抱く一方的な心理的関係を指します。相手は自分を個として認識していなくても、毎日配信を見たりコメントを読んでもらったりすることで、あたかも「友達」や「恋人」のように感じる現象です。

リアルな関係のストレスを避ける「心の居場所」

パラソーシャルな関係が広がる背景には、リアルな人間関係に伴う責任やストレス、プレッシャーを避けたいという心理があります。自分のペースで繋がり、嫌になればすぐに画面を閉じることができるこの関係は、孤独や不安を和らげる「低リスクな心の居場所」として機能しています。AI恋人アプリやキャラクターとの対話サービスに熱中する人が増えているのも、この欲求の現れです。

D2Cブランドと「誰が語るか」のマーケティング

ビジネスの世界でもパラソーシャルは大きな力を発揮しています。2020年代に急成長したD2Cブランドの多くは、セレーナ・ゴメスなどのセレブリティへの信頼が商品への信頼に直結した成功例です。現代の消費者は、商品そのもの以上に「誰が語り、誰が作っているか」というパーソナリティに反応します。企業でも公式アカウントの「中の人」が顔を出し、人柄を通じて顧客と繋がることで、ブランドへの強い愛着を生んでいます。

適度な距離と「安心感」の設計

ただし、熱狂を煽りすぎる「ファナティック(熱狂的)」な状況を狙うのは危険です。短期的な熱狂はすぐに冷め、依存関係によるトラブルを招く恐れもあります。これからのブランドに求められるのは、頼られすぎず、かつ突き放さない「適度な距離」を保ちつつ、顧客に安心感を与えられるコミュニケーション設計です。一歩通行の繋がりをいかにフェアで倫理的な関係として育めるかが、ブランドの真の強さを決めます。


「よげんの書」は企業や個人が不確実な時代を生き抜くための道標を提供し、仕事や生活のマーケティングに投影していただけることを目的・目標として主催者の個人プロジェクトとして運営しています。

まずはぜひセミナーをご覧ください。そして「セミナーの共同開催」や、よげんの書をもとにした研修「ミライノミカタワークショップの開催」など、マーケティング活動をご一緒させていただく機会を検討いただける場合はお気軽にお問い合わせください。Driving Forceをともに掴み、未来を一緒に創っていくことができれば幸いです。

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この記事を書いた人

舟久保 竜のアバター 舟久保 竜 よげんの書|主催者

総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査に関わるとともに、2020年から師匠の「大久保惠司 氏」とともに企業のマーケター向けに毎月トレンドを発表するセミナーを継続開催する。2025年、大久保氏の逝去後に「よげんの書」をライフワークとして継続することを決意。

本業は2024年1月から株式会社フィードフォースに所属。企業のコマースサイトを顧客体験基盤やCDPとして活用するためのソリューションのマーケティングに携わる。企業と生活者がモノではなくサービスでつながるための、SDL(サービス・ドミナント・ロジック)の実現を目指す。