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2010年代までは、中国が急成長し、中間層や富裕層が英語圏へ移住して大規模な移民コミュニティを形成していました(華僑ネットワーク)。しかし、中国の人口減少が始まり、移民増加の勢いは鈍化しています。
これに代わって世界的な労働力を支える存在として注目されているのがアフリカです。2024年時点で、アフリカ大陸外に暮らすアフリカ出身者は2000万人に達し、1990年の3倍に増加しました。この数は、インドや中国の出身移民数よりも多い状況です。
先進国では労働年齢人口が減少し、深刻な労働力不足に直面しています。過去の労働力輸出国であったメキシコやフィリピンでも高齢化が進み、移住者が減少傾向にある中で、アフリカは2050年までに労働年齢人口が約7億人増加すると見込まれる、最後の「人口ボーナス」を享受する地域です。
しかし、アフリカ経済圏だけでは、この拡大する労働力を受け入れるのに必要な雇用(必要数の約5分の1)を創出できていません。そのため、今後もアフリカ出身者は世界への移住を続けると予想されます。
この移民の流れは、受け入れ国だけでなくアフリカにも恩恵をもたらします。移民先で稼いだ資金が本国へ送金されて経済が活性化したり、海外で教育や技術を学んだ人材が帰国することで「頭脳獲得」につながったりするためです。アフリカ系移民の流れは21世紀において重要な力であり、各国はこの流れを無視すれば損失を招くことになると指摘されています。

