豪州の農業によって人手不足でも生産性を上げられることが示される|よげんの書:25年9月号より

この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。


農家4割減でも生産性4割アップ! 日本農業が学ぶべきオーストラリアのDX戦略

人手不足と高齢化は、日本の農業が抱える深刻な課題です。このままでは食料自給率の低下は避けられないのではないか、そんな不安がよぎります。しかし、オーストラリアでは同じ課題を乗り越え、しっかりと成果を上げています。今回は、日本の農業再生のヒントとなる、オーストラリアの成功事例をご紹介します。

投資とDXが生んだ好循環

オーストラリアの農業は、この30年間で大きな変化を遂げました。大規模農場の数が4割も減少したにもかかわらず、農業全体の生産性は逆に4割の向上を実現しました。

これを支えたのが、積極的な設備投資とDX(デジタル・トランスフォーメーション)です。世界の投資マネーが農業分野(アグリテック)に流れ込み、その資金が効率化のための設備投資に注がれた結果、人手不足を補って余りあるほどの生産性向上を実現しました。また、投資が集まる産業には新たな雇用が生まれるという好循環も生まれています。

投資が減り続ける日本の農業

一方、日本の状況は対照的です。農林漁業分野の設備投資は、過去20年間で4割も減少してしまいました。人手不足が深刻化しているにもかかわらず、未来への投資が細ってしまっているという、非常に危機的な状況なのです。

希望は「農機の無人自動運転」

しかし、日本にも希望の光は見えています。それが、農機の無人自動運転技術です。政府は現在、トラクターなどの農機が、畑から畑へ移動する際に通る公道(農道など)を、遠隔監視のもとで自動走行できるようにするためのガイドライン改正を進めています。これまで、公道を移動する際は必ず人が運転する必要があり、これが作業効率の大きな妨げとなっていました。もし公道での自動走行が解禁されれば、点在する小さな畑を一つの大きな農場のように一体的に管理することが可能になり、生産性の飛躍的な向上が期待できます。この実証実験は2025年度から開始される予定です。

人手不足を嘆くのではなく、オーストラリアのように積極的な投資とDXによって課題を克服することは可能です。農機の自動運転を起爆剤として、日本の農業が力強く再生する未来に期待したいと思います。


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この記事を書いた人

舟久保 竜のアバター 舟久保 竜 よげんの書|主催者

総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査に関わるとともに、2020年から師匠の「大久保惠司 氏」とともに企業のマーケター向けに毎月トレンドを発表するセミナーを継続開催する。2025年、大久保氏の逝去後に「よげんの書」をライフワークとして継続することを決意。

本業は2024年1月から株式会社フィードフォースに所属。企業のコマースサイトを顧客体験基盤やCDPとして活用するためのソリューションのマーケティングに携わる。企業と生活者がモノではなくサービスでつながるための、SDL(サービス・ドミナント・ロジック)の実現を目指す。