人民元安によって、中国のデフレ輸出が加速する|よげんの書:25年6月号より

この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。


現在、中国の通貨である人民元が安値圏にあり、特にユーロに対しては10年ぶりの安値を記録しています(4月22日時点で1ユーロ=8.437元)。元安の背景には、ドルとの連動を維持しつつ、トランプ関税による輸出への打撃を和らげるために、中国の通貨当局が元安を容認している側面があります。

この元安によって、元々安価であった中国製品がさらに安くなり、欧州を中心に世界へ大量に流出しています。

さらに、米国の関税政策の影響で、中国は対米輸出を欧州などの市場へシフトさせています。スマートフォン、電子機器、衣類といった輸出品目は米欧間で重複しているため、安価な製品がヨーロッパに流入し、デフレ圧力を強めています。

中国国内では需要が低迷しているにもかかわらず、工場は稼働を続けなければならないため、過剰生産された製品が世界市場に安価に供給される「デフレ輸出」が加速しています。

この過剰供給は世界中で吸収しきれず、東南アジア諸国の地元企業を直撃しています。例として、インドネシアでは2月末に大手アパレルメーカーが破産し、1万人以上が解雇されました。日本は現在、賃上げとインフレの好循環を継続していますが、世界的なデフレ輸出の拡大は、その好循環を断絶させる可能性も含むため、注視が必要です。


「よげんの書」は企業や個人が不確実な時代を生き抜くための道標を提供し、仕事や生活のマーケティングに投影していただけることを目的・目標として主催者の個人プロジェクトとして運営しています。

まずはぜひセミナーをご覧ください。そして「セミナーの共同開催」や、よげんの書をもとにした研修「ミライノミカタワークショップの開催」など、マーケティング活動をご一緒させていただく機会を検討いただける場合はお気軽にお問い合わせください。Driving Forceをともに掴み、未来を一緒に創っていくことができれば幸いです。

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この記事を書いた人

舟久保 竜のアバター 舟久保 竜 よげんの書|主催者

総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査に関わるとともに、2020年から師匠の「大久保惠司 氏」とともに企業のマーケター向けに毎月トレンドを発表するセミナーを継続開催する。2025年、大久保氏の逝去後に「よげんの書」をライフワークとして継続することを決意。

本業は2024年1月から株式会社フィードフォースに所属。企業のコマースサイトを顧客体験基盤やCDPとして活用するためのソリューションのマーケティングに携わる。企業と生活者がモノではなくサービスでつながるための、SDL(サービス・ドミナント・ロジック)の実現を目指す。