コンテナ船の遅延の常態化が世界の治安の悪さを反映する|よげんの書:25年6月号より

この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。


2025年6月24日、イスラエルとイランの停戦合意が発表され、世界中のエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖懸念が回避されました。これは一時的な安堵をもたらしましたが、国際物流の混乱は常態化しています。

コンテナ船のスケジュール順守率(定時率)は57.5%と低調なままです。かつて2010年代後半には70〜85%を維持していた定時率は、コロナ禍で30.4%まで悪化し、経済活動正常化後に一時回復したものの、2023年末からの中東情勢の悪化により再び遅延が常態化しました。

特に、武力組織フーシが商船攻撃を繰り返す紅海(アジアと欧州を結ぶ重要な海上交通路)において、商船は通航を回避するため、アフリカ大陸南端の喜望峰を経由する遠回りの輸送を強いられています。これにより輸送日数が大幅に長期化しています。

遅延の常態化は、在庫を極力持たない「ジャストインタイム型」の経営を支えてきた国際物流の土台を揺るがし、荷主企業は在庫戦略の見直しを迫られています。コンテナ船の遅延常態化は、あたかも「遅刻が常態化している」状態であり、世界の風紀の乱れや治安の悪さが反映されているのではないでしょうか。


「よげんの書」は企業や個人が不確実な時代を生き抜くための道標を提供し、仕事や生活のマーケティングに投影していただけることを目的・目標として主催者の個人プロジェクトとして運営しています。

まずはぜひセミナーをご覧ください。そして「セミナーの共同開催」や、よげんの書をもとにした研修「ミライノミカタワークショップの開催」など、マーケティング活動をご一緒させていただく機会を検討いただける場合はお気軽にお問い合わせください。Driving Forceをともに掴み、未来を一緒に創っていくことができれば幸いです。

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この記事を書いた人

舟久保 竜のアバター 舟久保 竜 よげんの書|主催者

総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査に関わるとともに、2020年から師匠の「大久保惠司 氏」とともに企業のマーケター向けに毎月トレンドを発表するセミナーを継続開催する。2025年、大久保氏の逝去後に「よげんの書」をライフワークとして継続することを決意。

本業は2024年1月から株式会社フィードフォースに所属。企業のコマースサイトを顧客体験基盤やCDPとして活用するためのソリューションのマーケティングに携わる。企業と生活者がモノではなくサービスでつながるための、SDL(サービス・ドミナント・ロジック)の実現を目指す。