標準世帯が4人家族から「親子3人猫1匹」へと変化する|よげんの書:25年8月号より

この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。


日本の標準世帯の概念が変わりつつあります。少子化が進む一方で、犬や猫といったペットの存在感が増大しており、彼らが家族の主役を代替しつつあります。

出生数を超える新規ペット飼育数

2024年の日本の出生数は68.6万人で過去最小を更新しましたが、新しく飼われ始めた犬猫の数は80.3万匹と、出生数を約2割上回りました。 総数で見ても、15歳未満の子どもが約1,400万人なのに対し、犬猫の飼育数は約1,595万匹と上回っています。

ペット市場の拡大と多様化

医療やフードの進歩によりペットの長寿化が進み、小型犬は平均15歳近くまで生きるようになっています。これにより、子どもを中学生まで育てるのと近い感覚で、長期的な支出が発生します。 ペット市場は多様化しながら拡大し、2023年度には1兆8,629億円に達し、過去10年で1.3倍に成長しています。2027年頃には2兆円を超える勢いです。

市場の革新事例

  • 絆を深めるサービス: 首輪のデバイスがペットの動きを計測し、AIがまるでペットと会話しているかのようなLINEメッセージを飼い主に送る「waneco talk」のような見守りサービスが登場し、絆と安心感を高めています。

  • 高度な健康管理: 物言わぬペットの健康のため、人並み以上に支出が進み、腸内フローラ判定や乳酸菌サプリ、フレッシュ食などが広がっています。

  • 代替ロボットの台頭: ペットを飼えない人向けに、体温が約38度ある「LOVOT」のようなペットロボットが、家庭だけでなく1,000の法人に導入されるなど、受け皿となっています。

経済的・社会的価値

小型犬の生涯費用は270万円を超えますが、子どもを15歳まで育てる費用(1,900万円)の約7分の1であり、経済的な面からも飼育が選択されやすくなっています。 ペットの飼育はウェルビーイングに良い影響を与え、金銭換算すると年収プラス1,300万円相当に匹敵し、結婚と同等の価値があるとされています。また、犬を飼う高齢者は認知症リスクが約4割減り、介護費用が半減するなど、社会的な効果も確認されています。

ペットは、家族の不安や孤独が強まる社会において、「裏切らない理想の家族」として見なされており、共に生き、共に眠りたいという需要から、ペットと一緒の墓を望む女性も3割を超えています。


「よげんの書」は企業や個人が不確実な時代を生き抜くための道標を提供し、仕事や生活のマーケティングに投影していただけることを目的・目標として主催者の個人プロジェクトとして運営しています。

まずはぜひセミナーをご覧ください。そして「セミナーの共同開催」や、よげんの書をもとにした研修「ミライノミカタワークショップの開催」など、マーケティング活動をご一緒させていただく機会を検討いただける場合はお気軽にお問い合わせください。Driving Forceをともに掴み、未来を一緒に創っていくことができれば幸いです。

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この記事を書いた人

舟久保 竜のアバター 舟久保 竜 よげんの書|主催者

総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査に関わるとともに、2020年から師匠の「大久保惠司 氏」とともに企業のマーケター向けに毎月トレンドを発表するセミナーを継続開催する。2025年、大久保氏の逝去後に「よげんの書」をライフワークとして継続することを決意。

本業は2024年1月から株式会社フィードフォースに所属。企業のコマースサイトを顧客体験基盤やCDPとして活用するためのソリューションのマーケティングに携わる。企業と生活者がモノではなくサービスでつながるための、SDL(サービス・ドミナント・ロジック)の実現を目指す。