この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。
経済不安が加速させるポイント活用への意向
インフレが長期化する英国では、生活者の意識が大きく変化しています。調査によると、英国人の55%が前年よりもロイヤリティプログラムへの参加意向を高めており、特にZ世代(71%)やミレニアル世代(72%)でその傾向が顕著です。インフレ率が日本と同水準の3%程度で定着する中、ポイント制度は付加価値としてだけではなく、節約と生活の安心を支える「セーフティネット」としての役割を担うようになっています。
計画的な貯蓄と「贅沢品」への戦略的投資
英国の美容・健康小売「Boots」の事例では、会員の74%が半年以上ポイントを貯め、40%がクリスマスの時期にまとめて消費するという、極めて計画的な行動が見られます。貯まったポイントは日用品だけでなく、ディオールなどの高級コスメを手に入れるためにも活用されており、インフレ下での「生活の工夫」として定着しています。このように、生活者はプラットフォームやストアごとに「日用品を買うためのポイント」と「贅沢品を狙うためのポイント」を賢く使い分けているのです。
日本市場における「割安感」と「体験」の提供
日本でもイケアが2025年6月からアジア初となるポイント制を開始しました。物価高が続く中で「割安感」をアピールすることが狙いですが、今後は単なる値引きだけでなく、そこでしか得られない「体験」を特典に含めることが重要になります。英国のデータでは、体験型の特典がリピート率を80%以上高めるという結果も出ています。インフレ局面においては、企業が生活者の家計を支える姿勢を見せつつ、感情的なつながりを深める設計が求められます。

