この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。
ラテラルシンキング(水平思考)とは、思考の幅を広げ、既存のカテゴリーや機能の枠を横にずらすことで、クイックにイノベーションを生む思考法です。これは、フィリップ・コトラーの著書でも強調されている手法です。社会的な課題が多発する現代において、この思考法が新しい機会を生み出しています。
コンビニの水平思考事例
コトラーの著書でセブンイレブンの事例として紹介されたように、かつてコンビニは「物を買う場所」から、公共料金収納、宅配受け取り、ATMといった「用事解決」の場所へと発想を横展開し、成功を収めました。 現在、コンビニはさらに遠い業界の課題を取り込み、イノベーションを起こしています。
ローソンの車中泊事業(宿泊業の課題解決) ローソンは、インバウンド増加と宿泊料の高止まりというオーバーツーリズムの課題に対し、駐車場で「車中泊」事業を開始しました。1泊2,500円〜3,000円で、電源、トイレ、ゴミ袋を提供し、地方における宿泊の受け皿となることを目指しています。これは、コンビニが持つ「駐車スペース」というリソースを、遠い業界の課題解決に水平展開した事例です。
セブンイレブンのファーストフード店化(外食のジョブ取り込み) セブンイレブンは、ファーストフード店の「用事」を取り込む水平思考を進めています。出来たてパン、紅茶、スムージーといった商品を増やすため、レジカウンターを最大4割延長する店舗改装を進めています。これは、客単価と来店客数の同時押し上げを狙うものです。また、雑誌棚を5割超減らす代わりにPB冷凍食品などの棚を拡充し、店内動線を「食と間食」に寄せることで、新たな価値創造を目指しています。
ラテラルシンキングは、自社とは全く異なる遠いカテゴリーや市場で起きている課題を、自社のリソースで解決できないか考えることで、新たなアイデア発想の機会につながります。

