この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。
NTTの衝撃:5年で業務の5割をAI代替
日本の大企業においてもAI導入のスピードは加速しており、NTTは今後5年以内に社内業務の5割以上をAIで代替する方針を打ち出しました。定型レポートの作成やメール対応、情報検索といった多くの仕事がAIに置き換わります。これにより、同じ職場内であっても「AIに仕事を奪われる人」と「AIを道具として使いこなし仕事の幅を広げる人」との間に、明確な「AI格差」が生じる懸念が高まっています。
学び直しを阻む「現実的な壁」
こうした状況下で「教育訓練休暇給付金」などの支援制度が2025年10月から始まりましたが、企業の導入率は2割未満と低迷しています。企業側には「代替要員の確保が困難」「育てた人材が他社へ流出する不安」があり、個人側にも「学びの期間中の収入不安」「家事育児との両立」といった切実な壁が存在します。制度は整いつつあっても、実際に一歩を踏み出せるかどうかの分岐点に私たちは立たされています。
求人市場に現れる職種別の明暗
求人市場のデータには、既に構造変化の兆候が現れています。IT系の開発やインフラ職種の求人が約97%という驚異的な伸びを見せる一方で、一般事務やデータ入力といったAIが得意な領域の求人は減少傾向にあります。人手不足によって全体の求人市場は拡大していますが、特定のスキルを持つ人材への需要シフトが鮮明になっており、リスキリングの成否が個人の市場価値を決定づける時代になっています。
「AIを使う側」に回るためみ求められるキャリア自律
世界経済フォーラム(WEF)は、2030年までに新規雇用が1.7億件生まれる一方で、9,200万件の雇用が失われると予測しています。差し引きでは純増となりますが、それは人々が新しい職能を身につけることが前提です。今後は、会社にキャリアを委ねるのではなく、自ら学び続ける「キャリア自律」が不可欠です。AIに翻弄されるのではなく、AIを強力な相棒として使いこなすための再リスキリングが、社会全体の喫緊の課題となっています。

