やせ薬の普及が食品市場の形を変える|よげんの書:26年夏号より

この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。


肥満症治療薬の市場拡大に伴い食の消費行動が変化している

肥満症治療薬の市場が急速に拡大しています。経口薬の登場や米国での公的医療保険の適用を背景に、世界の対象人口は10億人規模に達し、市場規模は2030年代に現在の約4倍となる約18兆円へ拡大すると予測されています。

投資家や企業はすでに「治療薬の普及した社会」を前提に行動を開始しており、この変化は人々の消費行動に長期的な影響を及ぼすメガトレンドとして位置づけられています。

摂取量減少に伴い食品メーカーは少量高栄養製品の開発へシフトしている

食欲を抑制する肥満症薬の普及により、高カロリーなスナックや脂質の多い食品の市場が縮小する懸念が生じています。薬の利用者は食事量が減少する一方で、筋肉量を維持するために高たんぱくな食品を求める傾向があります。

これに伴い、ペプシコやクラフトハインツなどの食品大手は、従来の商品戦略を大きく変更し、栄養密度の高い少量パック製品や高食物繊維商品の開発に投資をシフトしています。ドリトスがプロテイン配合スナックを発売し、ペプシコが新しいたんぱく質スナックブランドを立ち上げるなど、摂取量の減少を見越した製品戦略への転換が進められています。

特定領域の技術革新が異なる業界の市場構造を再定義する

このような市場の再定義は、医療・食品分野だけにとどまりません。

例えば、花王は衣料用洗剤の界面活性技術を応用し、AI向け半導体製造用の超微細洗浄剤を開発して量産を開始しました。また、味の素はアミノ酸製造時の副産物から半導体パッケージ向けの絶縁材料を開発し、世界的な中核事業に育てています。

一つの領域における大きな技術革新が、一見関係のない他業界の市場構造を再定義します。企業には、自社の既存領域に安住するのではなく、他分野の技術潮流を客観的に観察し、自社の技術と結びつけて事業化する視野が求められます。


「よげんの書」は企業や個人が不確実な時代を生き抜くための道標を提供し、仕事や生活のマーケティングに投影していただけることを目的・目標として主催者の個人プロジェクトとして運営しています。

まずはぜひセミナーをご覧ください。そして「セミナーの共同開催」や、よげんの書をもとにした研修「ミライノミカタワークショップの開催」など、マーケティング活動をご一緒させていただく機会を検討いただける場合はお気軽にお問い合わせください。Driving Forceをともに掴み、未来を一緒に創っていくことができれば幸いです。

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この記事を書いた人

舟久保 竜のアバター 舟久保 竜 よげんの書|主催者

総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査に関わるとともに、2020年から師匠の「大久保惠司 氏」とともに企業のマーケター向けに毎月トレンドを発表するセミナーを継続開催する。2025年、大久保氏の逝去後に「よげんの書」をライフワークとして継続することを決意。

本業は2024年1月から株式会社フィードフォースに所属。企業のコマースサイトを顧客体験基盤やCDPとして活用するためのソリューションのマーケティングに携わる。企業と生活者がモノではなくサービスでつながるための、SDL(サービス・ドミナント・ロジック)の実現を目指す。