この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。
生成AIの次、「動くAI」への莫大な投資
AIの進化は、画面の中の言葉や画像から、現実世界で物理的に活動する「フィジカルAI」へとステージを移しています。ソフトバンクグループがスイスのロボット事業を買収し、テスラのイーロン・マスク氏が「ロボットが会社の価値の大半を生む」と公言するなど、巨額の資金と人材がロボット分野へ流れ込んでいます。2040年には世界のロボット市場が約60兆円規模に達するという予測もあり、巨大産業としての期待が高まっています。
中国の全天候型と日本の「aibo」の進化
開発競争では各国が異なるアプローチを見せています。中国では、防水・防塵性能を備え、豪雨や極端な気温といった過酷な環境でも稼働できる「全天候型」のヒト型ロボットが登場し、屋外警備や工場での活用が進んでいます。一方、日本ではソニーの「aibo」が注目されており、3次元認識能力を高めることで家具の配置を把握し、洗濯物を運ぶといった「家事を手伝うロボット」へと進化し始めています。
勝敗を分けるのは「動作データ」の蓄積
フィジカルAIにおいて最も重要な資源は、ロボットが実際に動くことで蓄積される「動作データ」です。歩き方、物の持ち方、人との距離感など、現場で蓄積される膨大なデータをいかに早く、多く獲得できるかが、今後の競争力を決定づけます。日本は製造業における良質なデータを大量に保有していますが、その活用においては出遅れており、データ獲得競争への迅速な対応が急務となっています。
日本流「ロボットとの共生」の可能性
日本には「ドラえもん」や「鉄腕アトム」といった、ロボットを家族やパートナーとして受け入れる独自の文化背景があります。この親和性は、生活空間に溶け込むヒト型ロボットを普及させる上で大きな強みとなります。テスラのような機能性重視のモデルとは異なり、人々の生活に馴染み、感情的なつながりを持つ「日本流のロボット共生社会」が、世界の先を行くモデルになる可能性があります。

