スポーツ格差が広がり、スポーツがぜいたくなものになる|よげんの書:25年6月号より

この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。


若者の不安に関連して、日本ではスポーツが「贅沢品」となり、スポーツ格差が広がっています。

  1. 観戦の贅沢化:プロ野球やサッカー日本代表戦など、かつて地上波で普通に見られた試合の多くが有料サービスに移行しました。観戦チケット代は過去10年で1.4倍に高騰し、スポーツ動画配信サービスのDAZNの料金も3年で2倍以上に値上がりしています。 その結果、若者のスポーツ観戦離れが進み、12歳から19歳の生観戦率は2023年に30.5%と、10年余りで10ポイント以上減少しました。プロスポーツの観客数は過去最多水準であるものの、それは主に「お金を持っている大人」の贅沢となっている側面が強いです。
  2. 体験の贅沢化:スポーツの「参加費用」も値上がりしています。総務省の調査によれば、東京都区部の水泳教室の月謝は10年で2,000円近く上昇しました。野球やテニスなどでは用具代の上昇も加わり、家庭の負担が増加しています。

この費用負担の増大により、家庭の年収によるスポーツ格差が顕在化しています。世帯年収300万円未満の子どもの63.5%が週に一度もスポーツ体験(習い事やクラブ活動など)がないのに対し、600万円以上の家庭ではこの割合が大幅に低く、20ポイント以上の差が開いています。

スポーツは、これまで経済環境にかかわらず多様な子どもたちが接点を持つ機会でした。多様性を学び、機会の平等を確保するためにも、スポーツ体験の環境整備が求められています。


「よげんの書」は企業や個人が不確実な時代を生き抜くための道標を提供し、仕事や生活のマーケティングに投影していただけることを目的・目標として主催者の個人プロジェクトとして運営しています。

まずはぜひセミナーをご覧ください。そして「セミナーの共同開催」や、よげんの書をもとにした研修「ミライノミカタワークショップの開催」など、マーケティング活動をご一緒させていただく機会を検討いただける場合はお気軽にお問い合わせください。Driving Forceをともに掴み、未来を一緒に創っていくことができれば幸いです。

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この記事を書いた人

舟久保 竜のアバター 舟久保 竜 よげんの書|主催者

総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査に関わるとともに、2020年から師匠の「大久保惠司 氏」とともに企業のマーケター向けに毎月トレンドを発表するセミナーを継続開催する。2025年、大久保氏の逝去後に「よげんの書」をライフワークとして継続することを決意。

本業は2024年1月から株式会社フィードフォースに所属。企業のコマースサイトを顧客体験基盤やCDPとして活用するためのソリューションのマーケティングに携わる。企業と生活者がモノではなくサービスでつながるための、SDL(サービス・ドミナント・ロジック)の実現を目指す。