この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。
予測不能な乱高下:変動性(Volatility)と不確実性(Uncertainty)の正体
トランプ政権による関税政策の発表は、世界経済をかつてない「乱高下」の渦に巻き込んでいます。2025年4月、日米の株価は過去最大級の変動を記録しました。米ダウ平均が史上最大の上げ幅(2962ドル高)を記録する一方で、日経平均も過去3番目の下げ幅と歴代2位の上げ幅を数日の間に行き来するなど、市場の安定は完全に失われています。
さらに深刻なのは「不確実性」です。一度発動された相互関税が、わずか13時間後に一部凍結されるといった「二転三転」する政策決定が常態化しています。スマホや半導体装置といった重要品目が対象から除外された直後に再び対象とされるなど、企業が長期的な計画を立てることが極めて困難な「先読み不能」な状況が続いています。
複雑化するストレスと曖昧なルール:複雑性(Complexity)と曖昧性(Ambiguity)
経済の複雑性も増しています。通常、株価が下がれば安全資産とされる米国債は買われる(価格が上がる)というセオリーがありますが、現在はドル安・債券安・株安が同時に起きる「トリプル安」が発生しています。これは「米国債=安全資産」という大前提が揺らいでいることを示しており、リスクプレミアムの上昇がさらなる複雑なストレスを生んでいます。
また、政策の根拠となるルールさえも「曖昧」です。日本に設定された24%という高額な関税率の計算式において、分母の係数に誤りがあった可能性が指摘されています。本来は10%であるべき数値が計算ミスによって跳ね上がったという疑念は、今の社会がどれほど危うい均衡の上に立っているかを象徴しています。
VUCAを生き抜く「OODAループ」への思考転換
この混迷の時代に求められるのは、従来のPDCA(計画・実行・評価・改善)ではなく、「OODA(ウーダ)ループ」への転換です。13時間で局面が変わる環境では、じっくり計画(Plan)を立てている間に状況は腐ってしまいます。
まずは徹底的に現状を「観察(Observe)」し、何が起きているのか「状況判断(Orient)」すること。そして即座に「意思決定(Decide)」し「行動(Act)」に移すこと。特に最初の2つの「O(観察と状況判断)」を間違えないことが、変化の激しい時代において組織や個人が生存するための唯一の手段となります。

