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賃上げ率バブル期並みの影で増える保険料
日本企業は近年、バブル期以来の高水準となる賃上げを実施しています。しかし、額面上の賃金が上がっても、多くの働き手が「豊かになった」と実感しにくい状況にあります。その大きな要因の一つが、賃上げに連動して上昇する社会保険料の負担です。所得の伸びに合わせるように、家計から引かれる負担率も高止まりしています。
「年収の壁」とアクセル・ブレーキの同時踏み
最低賃金の引き上げは喜ばしいことですが、一方で「106万円・130万円の壁」という制度的なジレンマが残っています。賃金が上がることで、壁を超えないよう就業調整をするパートタイマーが増え、人手不足がさらに深刻化するという皮肉な現象が起きています。国が賃上げを推進する「アクセル」を踏みながら、社会保障制度が「ブレーキ」を踏んでいるような矛盾した状態が続いています。
可処分所得の抑制が経済循環に与える影響
2024年時点での家計の負担状況を見ると、賃上げによる名目所得の伸びを社会保険料の増加が相殺し、実質的な可処分所得の伸びを抑制しています。2026年度からは少子化対策の支援金も上乗せされる予定であり、負担感はさらに増す見込みです。全体最適を欠いた制度設計が、消費の拡大を妨げ、経済の好循環を阻害するリスクとなっています。

