賃上げが社会保障で消えていく|よげんの書:25年5月号より

この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。


賃上げ率バブル期並みの影で増える保険料

日本企業は近年、バブル期以来の高水準となる賃上げを実施しています。しかし、額面上の賃金が上がっても、多くの働き手が「豊かになった」と実感しにくい状況にあります。その大きな要因の一つが、賃上げに連動して上昇する社会保険料の負担です。所得の伸びに合わせるように、家計から引かれる負担率も高止まりしています。

「年収の壁」とアクセル・ブレーキの同時踏み

最低賃金の引き上げは喜ばしいことですが、一方で「106万円・130万円の壁」という制度的なジレンマが残っています。賃金が上がることで、壁を超えないよう就業調整をするパートタイマーが増え、人手不足がさらに深刻化するという皮肉な現象が起きています。国が賃上げを推進する「アクセル」を踏みながら、社会保障制度が「ブレーキ」を踏んでいるような矛盾した状態が続いています。

可処分所得の抑制が経済循環に与える影響

2024年時点での家計の負担状況を見ると、賃上げによる名目所得の伸びを社会保険料の増加が相殺し、実質的な可処分所得の伸びを抑制しています。2026年度からは少子化対策の支援金も上乗せされる予定であり、負担感はさらに増す見込みです。全体最適を欠いた制度設計が、消費の拡大を妨げ、経済の好循環を阻害するリスクとなっています。


「よげんの書」は企業や個人が不確実な時代を生き抜くための道標を提供し、仕事や生活のマーケティングに投影していただけることを目的・目標として主催者の個人プロジェクトとして運営しています。

まずはぜひセミナーをご覧ください。そして「セミナーの共同開催」や、よげんの書をもとにした研修「ミライノミカタワークショップの開催」など、マーケティング活動をご一緒させていただく機会を検討いただける場合はお気軽にお問い合わせください。Driving Forceをともに掴み、未来を一緒に創っていくことができれば幸いです。

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この記事を書いた人

舟久保 竜のアバター 舟久保 竜 よげんの書|主催者

総合マーケティング会社で23年間、NBメーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査に関わるとともに、2020年から師匠の「大久保惠司 氏」とともに企業のマーケター向けに毎月トレンドを発表するセミナーを継続開催する。2025年、大久保氏の逝去後に「よげんの書」をライフワークとして継続することを決意。

本業は2024年1月から株式会社フィードフォースに所属。企業のコマースサイトを顧客体験基盤やCDPとして活用するためのソリューションのマーケティングに携わる。企業と生活者がモノではなくサービスでつながるための、SDL(サービス・ドミナント・ロジック)の実現を目指す。