この記事は、トレンドの原動力を探るマーケティングセミナー「よげんの書」で発表した「よげん」をトピックごとに解説した記事です。よげんの書のウェブサイトから無料セミナーのお申込みや、講演資料やアーカイブ動画をご覧いただけますので、ご関心ありましたらお申込みください。
流動的な情報環境に適応した省力的な消費行動が拡大している
現代の消費行動には大きな変化がみられます。短期間で消費し、所有に固執せず、手間をかけない特徴を持つ「リキッド消費」が、若い世代を中心に浸透しています。
情報が絶え間なく流れる環境下において、消費者は能動的な検索を避け、SNS等を通じて受動的に得た情報をあらかじめ選択肢が用意された枠組み(プリセット思考)のなかで処理します。この行動は、流動化する環境で効率的に意思決定を行うための合理的な適応戦略といえます。
Z世代は失敗を避けるための保証を求め、α世代は意思決定をAIに委ねる
同じリキッド消費の傾向を持ちながらも、Z世代とα世代では具体的なアプローチに違いが現れています。
Z世代は多くの選択肢を収集するものの、購買の失敗を恐れて決断を保留する傾向があります。選択肢の多寡が不安要因となり、購入を踏みとどまらせる「心のフタ」を形成しているため、購買行動を促すには第三者の客観的な評価や周囲の推奨といった保証が必要とされます。
一方、α世代は検索や比較といった検討プロセス自体をAIに委ねることで、消費の効率化を進めています。他者の模倣を重視するZ世代とは異なり、α世代はAIの推奨データをベースとしながら、自身の嗜好に合わせて微調整を行う特徴があります。
企業は情報の構造化と顧客の決断を支援するアプローチが求められる
世代ごとの消費特性の違いは、マーケティングアプローチの変更を求めています。
Z世代に対しては、単なる商品訴求ではなく、意思決定に伴う心理的ハードルを下げるアプローチが有効です。一方、α世代に対しては、検索AI等に正しく推奨されるよう、商品情報をあらかじめ構造化しておくデータ対策が重要となります。
また、α世代の合理的な消費価値観は親世代の購買行動にも影響を与えています。情報の流動化が加速する中、従来の「選択肢を提示して選ばせる」手法から、顧客の決断プロセスそのものを支援する戦略への転換が求められています。


